写真は、手前が黒織部轡型 右奥が青織部割山椒 左奥が備前片口 です。
料理の大切な要素の一つとして器があります。
当館では、土の香りのする器にこだわり、陶器(土もの)を多用しています。
しかも、出来るだけ作家物ではなく、職人の手によるものを選んでいます。
職人は、すばらしい器を幾つも同じクォリティーで作ることが出来ます。
職人が魂を込めて創り上げた器には、力があり、味わいがあり、
料理を盛る側も真剣勝負、命がけでなければ、太刀打ちできません。
懐石料理をはじめ、日本の文化は多くの名も知れぬ職人が支えてきました。
当館敷地内にある、明治・大正ガラス美術館の和ガラス達も職人が作ったものです。
作品ではなく、器。使ってこそ美しく輝きます。
料理を盛った器は、とても美しく、料理を引き立たせてもくれます。
用の美です。
器は、欠けたり、割れたりするものです。
ただ、大切に扱えば、私たち人間よりはるかに永く、何百年も生きることができます。
私どもでは、割れたり欠けたりするからこそ、繊細な器を使います。
最も繊細な器と同じ扱いをすれば、全ての器を丁寧に扱う癖がつくからです。
器は、前述のように、何百年と生き続けるものですから、
一人の人間、一代では保てません。
ですから、所有するということが似合いません。
預かるという言葉が当たると思います。
当館では、職人が魂を込めた器を沢山預かっています。
それを後世に伝えていくのが務めだと考えております。
毎日、様々に料理を盛りつけられた器を、お客様にお楽しみいただいております。
御宿かわせみ流懐石料理とともに、是非器もご賞翫くださいませ。
器への思い、考え方に共感します。
いくら美味しくても、器が食堂レベルでは興ざめですんね。
旅館だとどうしても割れにくいものや重ねやすいものを使ってるので、それが私たちにもわかってしまってがっかりします。
割れるからこそ繊細な器を使う、器だけでなく、社会のいろいろな部分が先走り的な昨今、とても興味ある考え方で、大変勉強になりました。
有難うございました。